■ コラム

 
デフレと最近の不動産価格について
日本経済はこの数年間、デフレ状況にある。先日行われた総選挙では「構造改革なくして、景気回復なし」とのスローガンを掲げる小泉首相率いる自由民主党が安定多数の議席を確保し、第二次内閣を組閣して、それまでの経済運営を継続する見込みである。
この「構造改革なくして、景気回復なし」というスローガンであるが、構造改革とは経済の足腰を強くするために必要な改革で、好況時に行うべきものである。今、日本経済はデフレ状況に陥っている。このデフレの下で構造改革を強行すれば、雇用や先行きに対する不安が徒に拡大し、デフレから脱却することが一層難しくなるのではないだろうか。今必要なのはこのデフレから脱却することを第一の目標とすべく、これ以上のデフレは許さないことを明言すべきではないのだろうか。
ここで、私が常日頃接している不動産について思いを巡らすと、不動産価格、特に都区部の住宅地では下落傾向に一服感が出てきている。不動産も様々な財やサービスの一部であるが、他の財やサービスと違って、ほとんどの人は今や一生に一度の大きな買物であり、大きな波及効果も望めるものである。
私が思うのは、不動産についてはこれ以上の値下がりを期待してもそう大きな値下がりがなく、むしろ金利が上昇すれば借入可能額に与える影響の方が大きいことを知らせるべきではないのかということである。不動産についてはこれ以上の値下がりが期待できないということになれば、少なくとも資産デフレに対する懸念は減退する。
日銀はデフレ懸念が払拭されるでは金融緩和を継続するとのことであるが、具体的なインフレ率や時期について言及しているわけではないので、このデフレがどこまで、またいつまで続くのか、一般国民には不安があり、不動産購入者の中には様子見の人々も多いものと思われる。これ以上の資産デフレはないことが理解されれば、このデフレ懸念を払拭するのに、一役買うのではないかと思うのだが……。

平成15年11月25日
不動産鑑定士 野口和紀

 
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